なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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2022-01-01から1年間の記事一覧

『漁夫とその妻』--欲望と倫理のレイヤ--

グリム童話に『漁夫とその妻』というお話があります。ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、 以下、簡単にあらすじを紹介します。 貧しい漁夫がある日カレイを釣り上げたところ、そのカレイが実は王子様で、逃がして欲しいと嘆願された漁夫はカレイを…

反出生主義よ こんにちは

先日の哲カフェ、『「いてもいいかな」と「いなくてもいいかな」』は不思議な味わいのカフェだった。筆者には未だに論点が分からず、これから述べることは全く場違いな内容になるかもしれない、ということを先に断っておく。 この世に自分が「いなくてもいい…

あなたの中で輝くもの

輝くといっても、魂だの愛だのについての話ではありません。どちらかというと「萌え」に近い感覚の話です。 皆さんに支えられて哲学カフェを開催しています。テーマを考える時、私はよく1つの言葉を選びます。 私は、言葉について考えることが好きです。「…

編集部よりお知らせ:12月24日「サンタクロースはいるのでしょうか?」特設ページ(コメント募集)

12月24日の哲学カフェ「サンタクロースはいるのでしょうか?」にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 カフェで話題に上ったトピック サンタクロースがいないという証明の困難さ サンタクロースの存在を認める心の豊かさ 子供を喜ばせること…

みんなで考える。独りで考える。

先日の哲カフェで、哲カフェの効用として「自分一人で考えても、煮詰まってしまい別の視点を持てない。ところが哲カフェに参加することで、自分では絶対に気づかない新鮮な考え方に触れることができる」という、やや定型の感のある発言を再び聴いた。 何年も…

本質シリーズ第五弾:コーヒーの本質

本質シリーズ第四弾から時間がたってしまいましたが、私も参入して第五弾を書くことにしました。 先日私はリアル哲学対話に初参加しました。なごテツのZoomによる哲学対話では、自宅で自分好みのコーヒーを淹れて自分専用のカップ&ソーサーに注ぎ、それをお…

シュレーディンガーの〈彼〉

それは雨が降る初冬の夜の事だった。普段はひっそりとしたN物理学研究所の周りに、場違いなサイレンを騒々しく鳴らしながら四、五台のパトカーが集まって来た。 「ここに一ヶ月ほど前から、ひとりの男性が監禁されているとの通報を複数受けた」車から降りた…

編集部よりお知らせ:12月17日「平等と公平」特設ページ(コメント募集)

12月17日の哲学カフェ「平等と公平」にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 カフェで話題に上ったトピック 平等は優劣・序列をつけない。公正は、あるルールのもとで競い合う。 平等や公平は、目的ではなく手段。どういう社会にしたいのか?…

哲学的?なフィンランドの変な映画

フィンランドのアキ・カウリスマキという映画監督をご存知でしょうか?なんとも言えない変な作品をたくさん撮ってる人。かなり昔に「浮き雲」という作品を観て、妙~な感覚が残ったことは記憶していたのですが、最近数年ぶりに、うっかり「マッチ工場の少女…

ふつうな子供と大人のふつうの会話

次の仮想会話は、子供の頃の自分と、大人である現在の自分との会話である。大人「人間は生まれてくるべきではない、というのが君の主張なんだよね」子供「そうだよ。そしてこの世に生まれてきたのは、僕の責任じゃない。まったく迷惑な話だよ。僕は被害者だ…

あらゆる物質は毒になる?

2023年2月19日まで、上野・科学博物館で「毒展」が開催されています。「毒」は危険なものですが、どこか魅惑的でもあります。好奇心をそそられて、見に行ってきました。 会場をぐるりと一回りすると、だいたい40分。考えてみれば当たり前のことですが、毒…

編集部よりお知らせ:12月10日「哲学カフェのルール」特設ページ(コメント募集)

12月10日の哲学カフェ「哲学カフェのルール」にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 カフェで話題に上ったトピック <「哲学カフェにおいて大切な事とその為のルール」を中心に> カフェの目的をはっきりさせること 暖かい雰囲気/居心地の良…

『終止符のない人生』ーー多様性の多様化ーー

先日図書館で『終止符のない人生』という本を借りて読みました。今、日本で最もチケットが取れないピアニストと言われている反田恭平さんの初エッセイ集です。幸運にも、ここまで有名になる前に生の演奏を聴く機会がありました(とは言え発売開始日の朝、会…

物差し

遠くのものを、時々意味もなく思い、見つめてしまう。地上のものばかり凝視していると、どんどん近視眼的になり、その中の比較理解が難しくなるように感じるから。 日常は、平和で申し分ないことばかりではない。肉体を持って、他者や社会と関係していくとい…

人生百年時代に思う

「人生百年時代」、そんな言葉が人口に膾炙して久しい。現役時代、思い描いたように活躍できた人にも、思うようにいかず不遇の人生を送らざるを得なかった人にも、「老後」はやってくる。 しかし、消費可能なお金の額により、どのような「老後」を送ることが…

編集部よりお知らせ:12月3日「応援するとは?」特設ページ(コメント募集)

12月3日の哲学カフェは、テーマその場決め。投票の結果、テーマは「応援するとは?」になりました。 カフェで話題に上ったトピック 「推し」と応援の違いは? 利益共有/見返りを求める心と応援の関係 どんな人を応援したい? 応援したい?/されたい? 応…

丁寧なお辞儀

金曜日は夕食後、クリーニングを出しに行く。毎週のことで、店の方とも顔なじみである。忙しかった週に洗濯物が入った黒いバッグを持つと、これで一週間が終わったという気持になる。これから二日間は自分のための時間だ。 先日、いつものように店に入ったら…

すみません。「ありがとう」が言えなくて…………

ちょっとした他人の親切に対して、思わず口にする「すいません」。 それに対して、「あれは止めるべきだ。ちゃんと『ありがとう』と言うべきだ」、このような意見を見聞する。なんとなく尤もな気がする。「何故親切に対して謝らなければならないんだ」「ちゃ…

「私ごとき」の世界

11月19日の「対話とは」特設ページに書かれたコメントを読みつつ、以前LINEでの何気ない雑談から対話になった時、「これ記事にするよ」と言ったまま放置していたものを思い出しました。 私がよく口にする「私ごとき」という言葉に関するものです。 「私…

編集部よりお知らせ:11月26日:「普遍と個別」特設ページ(コメント募集)

11月26日の哲学カフェ「普遍と個別」にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 カフェで話題に上ったトピック 普遍とは共通して持っている概念 芸術・文学に含まれる普遍的感動の形 共通性、恒常性から普遍性への格上げ 普遍性を導く時に埋め込…

〈たてまえ〉。——————ほんねを超えて

あなたは〈たてまえ〉と〈ほんね〉のどちらに興味があるだろうか? 「確かに他人の〈ほんね〉は知りたい。それは通常、隠されているものだから。それに対し〈たてまえ〉はいつも目に触れるところにある。嫌でも認知するところのものとなる。だから特別、希求…

フリフリ。

散歩中、柴犬を見た。尻尾をフリフリさせて飼い主さんと歩いている。フリフリ、フリフリ。ああ、この柴犬は明日のことなど思い煩っていない。おそらく昨日叱られた(かも)ことも忘れている。 もちろん、いつか自分が死ぬということも知らない。フリフリ、フリ…

編集部よりお知らせ:11月19日:「対話とは」特設ページ(コメント募集)

11月19日の哲学カフェ「対話とは」にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 カフェで話題に上ったトピック 共同体の対話と個人の対話(共同体は規範、個人は感情を重視?) 閉じられた人と開かれた人 対話と議論の違い 対話の成立に必要なもの…

箸休め的論考=読書論

頭を酷使している皆様の為に、ここに箸休め的エッセーを記す。たぶん読んでも考える力は養われない。そして何も得るところがない。ブログのインフレ化の走り。ただ、自分の投稿ノルマを果たしたい一心の愚行ではないか。他人の迷惑を省みないとは、このこと…

妖怪は何処へ行った?

妖怪が跋扈していた頃は、そんなに昔のことではない。だが、現在妖怪は神社の境内にも、人があまり通らない細道にも、まして家のトイレにも姿を見せなくなっていた。 科学の発達が、妖怪などという非科学的な存在にとどめを刺したと思われているが、それだけ…

哲学者のための統計学入門2

※「哲学者のための統計学入門1」はこちらにあります。 「数学なんて勉強して何の役に立つんだ」という話をしばしば耳にします。まぁ実際、数学なんて使わずとも人生を幸福に終えられる方は多いでしょう。しかし、情報が溢れ返り、不可思議な怪異が姿を消し、…

曇り空と暮らす

日本海側に住むということは、曇り空と暮らすことを意味する。冬場はほぼ洗濯物を外に干すことはないし、突然の雨に備えるために、晴れた日も天気予報の確認を怠らない。 初めて冬に太平洋側を訪れた時、マンションのベランダにずらりと並らぶ布団に衝撃を受…

編集部よりお知らせ:11月12日:「安全な社会と安心な社会」特設ページ(コメント募集)

11月12日の哲学カフェ「安全な社会と安心な社会」にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 カフェで話題に上ったトピック 安全な社会と安心な社会の関係 安全-客観、安心-主観? 安全/危険と安心/不安 安心と信頼 安心な社会でなければダメな…

音楽で建てられた凱旋門:後編

※前編はこちらにあります。 言葉を使わない思考の存在:感性と感受性、感情とは何か 知能:知能指数IQと心の知能指数EQとは何か 注目される非論理的思考:ノンリニア思考、デフォルト・モード・ネットワークによる創造性 科学的事実と主観的なラベリングの違…

音楽で建てられた凱旋門:前編

何というインパクトと感動だろうか。無防備な状態で涙がとめどなく流れるのを止められず、言葉にならず、ただ感情が大きく揺さぶられるのを感じる。 私がいた場所はコンサートホールで、あと数時間で台風が当地に襲来し、一部の公共交通機関は計画運休する直…