先日ちょっとした雑談の中で盛り上がった(?)『鉄鼠の檻』、京極夏彦の人気シリーズ第四弾です。第二弾の『魍魎の匣』が最高傑作という世間の評価には賛同しますが、個人的にはこの『鉄鼠の檻』が一番好きです。
謎の巨刹明慧寺で起こる連続殺人事件を中心にストーリーが展開する、古寺の闇と人間の心の闇が溶けあう濃厚なミステリーです。
「頓悟する」とはどういうことか、犯人の動機は何なのか。
「禅とは」について考える契機となる様々なトピックが散りばめられています。
また、登場人物達のいわゆる”キャラ立ち”も同シリーズの大きな魅力です。私は榎木津礼二郎というキャラのファンなのですが、主人公の京極堂こと中禅寺秋彦も捨てがたい……。行動よりも思索、体験よりも読書、清々しいまでの徹底ぶりです。
大分前に月イチで句会に参加していた頃、京極堂へのオマージュとして一句作りました。
書痴と云ふ主を訪へば春炬燵
今の時期だと季ちがいですね。お粗末でした。