清少納言は「夏は夜」と書いたけれど、私はやっぱり「夏は朝」。
もともと早起き体質で朝が大好きだけれど、夏の朝は格別!
涼しい風と素肌が触れ合う心地よさ。
鳥の声や蝉の声もにぎやかで楽しい。
濃い緑の匂い、土の匂い…。
しかし、なんと言っても最高なのは夜明け。
薄いベールを何枚もかけたような夜明け前の青い世界から、ベールが一枚ずつはがされていき、オレンジ色の光が現れる。「刻一刻」という語感よりもずっとなめらかに移り変わるその様子から目が離せない。世界が一変する。
暗い中ではただ薄気味わるかっただけの草ぼうぼうの場所に太陽の光が差し込むだけで、小さな葉っぱの一枚一枚についた朝露が、一粒一粒ダイヤモンドのように輝き出す。
あんまり美しいから、時々太陽を撮る。切り取られた太陽は小さな画面の中でも輝いているけれど、それは標本にした蝶みたいなもので、やっぱりちがう。
「名月を取ってくれろと泣く子かな(by小林一茶)」…なんて句があったけど、カメラがあるとある意味「とれちゃう」から、ついとっちゃうのは…愚かなことかも……。
カメラをしまって、あらためて空を振り仰ぐ。まぶしい。そしてあたたかい。
私のからだにも隅々まで光が降り注いでいる。
夏の朝のよろこびは、誰にも等しく与えられるよろこびだ。
それは太陽が与えてくれるよろこび。
今、「幸福とは?」って聞かれたら、「太陽の光」って答えそう。
ぼくらはみんな生きているー。
それは太陽があるから。
夏の朝は、そんな当たり前のことを思い出させてくれる。
明日は、てのひらを太陽にすかしてみようかな。
(ikue)