なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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哲学的?なフィンランドの変な映画

フィンランドアキ・カウリスマキという映画監督をご存知でしょうか?
なんとも言えない変な作品をたくさん撮ってる人。
かなり昔に「浮き雲」という作品を観て、妙~な感覚が残ったことは記憶していたのですが、最近数年ぶりに、うっかり「マッチ工場の少女」を観てしまい、ハマりました。

なんだこりゃ。

少女に見えない主人公が…ひどい目にあって…かわいそう…、ああそんな…、え?この子何するの?えええっ?!わからないでもないけどそんなことを…あ~…。
そして、 (;・∀・)え?これでオワリナンダ… 
なんともいえないこのキモチ……この妙~な感覚、哲カフェの最後に似てる?

そしてつい他の映画も観たくなる…。

なので立て続けに「街のあかり」「パラダイスの夕暮れ」「過去のない男」「希望のかなた」を観ましたが、その全てでやっぱり『妙~な』感覚がありました。
基本的に登場人物たちはいわゆる『負け組』。
負けて、負けて、まだ負けて、最後も負ける。そして、これで終わり!?という衝撃。
時にはほんのりハッピーエンドと言っていい作品もあってホッとするんですが、基本的には負けてます……。(一番負けてるのは『街のあかり』かな)

観ていたら暗くなりそう……って思うかもしれませんね。
人によってはそうかもしれませんが、私は気づきました。あの『妙~な』感覚は、不快感ではなかったのです。
むしろ心地よい…なぜかしら。
負ける人は『あるがままを受け入れる』人でもあります。抵抗しない。受け入れる。
時には抵抗もするんですが、どうせ負けるのでやっぱり受け入れることになります。その時の顔がいいんです。
基本的に無表情、というか仏頂面。ニコリともせずに、ふりかかる苦悩をタバコの煙を吸い込みながら飲み込む。
まるで水のようにガブガブと飲み込まれる苦悩とタバコの煙。登場人物の喫煙率の高さといったら…げほげほ。
でもその負け組の人々の在り方が、なんだか清々しいのです。ああ、この人たちは強いな、と。負けてはいるけど負けていない。暴力も理不尽も、すべてを飲み込んで、それでも生きていく強さ。
そんなわけで、観終わった時に観る人を妙に元気づけ励ましてしまう映画です。

カッコいい主人公に感情移入して、映画館を出て半日くらいはテンション高くなっちゃうような作品から得られる薄っぺらい励ましではなく、深いところにじわじわ効いてくる励まし方です。
とはいえ、監督には観客を励ます意識はない気がします。なんとなく。
観ている側が勝手に「生きるぞ!」って気分になっちゃうんですよね。
まったく、妙な映画です。

そういえば、『過去のない男』で、記憶喪失の男を助けた貧しい主婦のセリフが好きでした。
男に、どうして親切にしてくれるんだ?と聞かれて
「私は恵まれてるもの。住む所はあるし、夫も仕事があるわ、週二回だけど」
と答える。彼女は古―いコンテナを改造したようなボロい家に一家四人で住んでいるのだけれど。

全体的にセリフは少ないのですが、何気ないシーンで突然ハッとする場面や言葉が出てくるので、油断できない映画でもあります。
感じ方は人それぞれですが…(;・∀・)ご縁があれば、いつか。

全22作品。アキ・カウリスマキ監督が制作した映画ランキング - 映画格付
こちらに作品が紹介されています。ご参考までに。

(ikue)