なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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おなごテツのテーマができるまで--フェミニズムって、そもそもどうなの?--

 毎月第四土曜日に開催されるおなごテツのテーマは大体前々月末には決まっているのですが、今回(2023年2月)珍しく当初決まっていたものを急遽差し替えることにしました。世話人3人が年明けに100分de名著のフェミニズム特集を見て、今フェミニズムについて皆で話してみたいと強く思ったからです。

 私を含め、3人ともそもそもそんなにフェミニズムに興味があったわけではありません。むしろ、他所のイベントでそのようなテーマを扱っていても積極的に参加しようとは思わない派でした。しかし、この番組を観て、今現在当たり前のように享受している権利や環境は、多くの先達が迫害や圧力と命がけで戦って一つずつ勝ち取ってきた結果であるということを再認識し、伝え方によってこんなに心が動かされるのかと驚いたのです。そして、そのような大きい波はまず小さい波を起こすことから始めなければならないことを痛感しました。自分達の状況を踏まえ、まず女性自身がフェミニズムという言葉に違和感を感じるとしたら何故なのか、身近なところで小さい波を起こすにはどうしたらいいのか、そういった切り口から入ってはどうだろう?と話が進んでいきます。

 方向性が決まったら次はテーマ決めです。次々と色々な案が出てきました(これ以外にも沢山あったのですが)。
・やわらかいフェミニズム
・選べるとしたら、男に生まれたい?女に生まれたい?
・精神的両性具有について考える
・現状にさざなみを立てるには
・性にとらわれない社会にするために、今わたしたちができることについて考えてみませんか?
・「ふぇみにずむ」って何?
フェミニズム3.0
・今更だけど、フェミニズム
・リアル・フェミニズム
・今とこれからのフェミニズム
・なんてったってフェミニズム

 最後の方はもはや遊び……。結局「フェミニズムって、そもそもどうなの?」に落ち着き、リード文に進みます。フェミニズムに違和感を持っている人やよくわからないと思っている人のお話も聞きたいと思い、それらを盛り込んで、「女性たちからも「フェミニズム」ってよくわからない、うさんくさい……という声がありますね。一方では推進派も。ほんとはどうなの? 今あらためて考えてみませんか?」になりました。

 テーマとして採用されなかった「フェミニズム3.0」という言葉には、1.0はウーマンリブの時代、2.0は上野千鶴子氏を始めとする大きな存在が引っ張っていた時代、そして3.0は今、ゆるやかで多様な活動が展開されている新しいフェミニズムの時代、という意を込めました。かつて闘う対象だった資本主義社会も男性社会も、それ自身が大きく変容しています。それは、必ずしも抑圧が減って生きやすい世の中になったことを意味しません。個人個人がより考えて行動しなければならないということなのでしょう。

 2019年に話題になった上野千鶴子氏の東大祝辞に以下のような文言がありました。

女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

 弱者が強者になりたいわけではない、でも強者に尊重してもらいたいわけでもないのです。弱者は弱者として、弱者を、そして全体を尊重する方法を考えなければならない。その先に弱者や強者に代わる概念が現れると(完全に平等になるという意味ではなく)面白いと思います。

(福)

※100de名著フェミニズム特集は2023年2月5日午前0時よりEテレで再放送される予定です。詳しくはスペシャル番組 100分deフェミニズム論:100分 de 名著 (nhk.or.jp)をご覧ください。