なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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プーさんの世界

先日、名古屋市美術館で開催中の『クマのプーさん展』に行ってきました。

E・H・シェパード氏の素晴らしい原画が約100点も展示されると聞きワクワクワクワクしながら開館と同時に駆け込んで最初の方はダーーーッと走り抜け(目玉の展示は最後の方ですから!!)一人で悠々じっくりと原画の世界をあじわいました。

「見ているあいだは僕のもの」というムーミン谷のスナフキンのセリフを思い出しつつ…、約30分間は私一人のものでした、プーさん(*´ω`*)

その後は再び入り口付近に戻り、結果的に展示会場を三周してお腹ぺこぺこ、へとへと。
出口を出たら出たでグッズコーナーに待ち受けるトラップ。欲しい…いやいやいや、買っても使わないでしょ!可愛すぎて!置いておくだけならじゃまになるでしょ!と、内なる自分と格闘しながら、一枚だけ大好きな絵柄のプーさんカードを購入して美術館を後にしました。(※上記の写真はカードを撮影したものです)

その絵には、プーさんが川辺に座ってポカンと口を開けている姿が描かれています。目も閉じていて、その先にはトンボが一匹飛んでいます。後は草むらと樹木。

表現されているのは静かな空気…。まるで俳句の世界。あるいは禅画のよう。プーさんの原画は基本的には黒だけで描かれたペン画です。ペン画は水墨画同様『空白』が語るのです。そもそも『クマのプーさん』の世界は、三十年ほど前『タオのプーさん』(ベンジャミン・ホフ著)という本が出版されたくらい、老子的な空気に満ちています。のんびり、ゆったり…平和で静かな世界。

クマのプーさんの世界はファンタジーなのかもしれません。子どもの時はプーさん達と遊べるクリストファー・ロビンも、成長すればプーの森に来られなくなります。でもやっぱりクマのプーさんの世界には、わたし達にとって、とてもとても大切なものがあるような気がするんですよね。

作者のA・A・ミルン氏も挿絵画家のE・H・シェパード氏も、第一次世界大戦を体験しています。だからこそ、その後の世界の平和への祈りを、この物語や挿絵に込めているように感じられました。単なるファンタジーじゃない。単なる可愛い絵でもない。ここには二人の強い祈りが表現されているのです…。

(ikue)