なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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きれい事。

アマゾンプライムのウォッチリストにたくさんの映画作品を溜めてしまっているにも関わらず…

つい見てしまうのが30分程度で見られるアニメ作品。しかも昔の。

テレビの再放送でも何度も見ていて、いったい何回目?と思いながらも今また見ているのが

ペリーヌ物語」。

1978年に一年間にわたって放送された、あの「世界名作劇場」シリーズの一つです。

 

アルプスの少女ハイジ」や「母をたずねて三千里」に比べれば、とても地味な作品という印象で、

好きなのは私くらいだろう…などと思いながら、密かに大切に愛してきた作品なのですが、

ナント、とあるランキングサイトでは

「あなたが一番好きな世界名作劇場のアニメ作品はどれ?」という問いかけに堂々第一位を獲得!!

うれしいような、少しさみしいような。愛って複雑。

でも多くの人の心に残っているというのは、やっぱりうれしぃ。

 

お話は、旅の途中で父を亡くしたペリーヌが、父方の祖父の所に行くために、母と二人で家馬車という現代のキャンピングカーのようなもので旅をするというもの。

しかし母は途中で病死。その後はたった一人で苦労しながら祖父の住む町にたどり着き、しかし父母の結婚に大反対していたという祖父にすぐには孫だと名乗り出ることができず…

という展開。たった一人で工夫しながら生きるペリーヌの姿も魅力的なのですが、シリーズ序盤、母と旅をしている頃のエピソードにも秀逸なものが多いのです。

 

とりわけ第十話で、ペリーヌの母が月明りの部屋でペリーヌに静かに諭すところは屈指の名場面。

貧乏で社会的には最下層の弱者とも言えるものの、誇りを失わず清く正しく美しく生きる母。

(清く正しく美しくなんて現代では死語ですが…※宝塚歌劇団のモットーではあります)

その母が、ペリーヌがその賢さで他者(いじわるな人だけど)をやり込めるのを見て感心するのではなく、心配するのです。

 

「これからも、色々意地悪をされたり悪口を言われたりするかも知れないわ。でも私たちは決して、人に意地悪をしたり悪口を言ったりすることはやめましょう。人には、優しくしましょう。そうすれば、人からも優しくされるわ。人から愛されるには、人を愛さなくては。お母さん、お前が誰からも好かれるような娘になってほしいのよ。お前の賢さと強さを、そういう人間になるために使って欲しいの。そうすればおじい様もきっと、お前を大好きになってくれるわ。」

 

ペリーヌの母の声は、銀河鉄道999メーテルの声でもある池田晶子さんです。想像してね…

 

…この世界観を、現実はそんなに甘くない、きれい事だと一笑に付すこともできるでしょう。

この母は実際に、自分たちの大切なものを盗もうとした泥棒さえ許してしまいます。

でも、「真理とはなにか」というような問いを耳にするたびに、私はこのセリフが心に浮かびます。

もちろん、容易には会得・実行できないからこそ、憧れのように心に浮かぶのですが。

 

「きれい事」を実行するには勇気が必要…。

だから初見から40年以上も経つのに、つい何度も見直してしまう。

引き出しの奥から、「きれい事」を取り出して思い出すために。

(ikue)

 

☆参考

ペリーヌ物語」1978年放送

78年文化庁こども向けテレビ用優秀映画作品賞を受賞

原作:エクトル・マロ「家なき娘」