1978年から1987年にかけて『週刊少年サンデー』に連載されていた高橋留美子の『うる星やつら』。鬼族の宇宙人ラムちゃんとラムちゃんに惚れられた地球人諸星あたるをめぐる宇宙を巻き込んで繰り広げられるドタバタラブコメ(?)の最終回。
大喧嘩をしてしまったあたるとラムちゃんの為に地球に危機が訪れる。それを回避するにはどうしてもあたるがラムちゃんに普段思っていること、すなわち「好きだ」と言わなければならない、という設定。
しかし浮気性のひねくれ者あたるは、どうしても「好きだ」とは言わない。地球に平和は訪れないのか?という事で、結局最後は
ラム 「一生かけていわせてみせるっちゃ」
あたる 「いまわの際にいってやる」
周囲の誰か 「一生痴話ゲンカ続けるつもりか、おのれらっ‼」
ラム 「だっちゃ‼」
もう、誰が見ても互いの気持ちは分かり切っている状態。それでもラムちゃんはあたるに「好きだ」と言わせたい。ここで、未来永劫ラム以外の女の人には感じないと約束させたいラムちゃん。あたるはそんな未来のことは分からない、のではなくラムちゃんにここで自分の気持ちを打ち明け誓いたい、未来の可能性などはラムちゃんの為に捨ててもいいと思っている。
では何故、あたるは素直に「好きだ」と言わないのか?この状況で「好きだ」と言う事はラムちゃんの事を好きなのではなく、地球を救うために言ってるととられてしまうからだ。
でも、あたるは全地球のことなど眼中にない。ただ、ラムちゃんに自分の本当の気持ちを伝えたいだけだ。
ラムちゃんはこのまま一生あたるとずっと一緒にいたいと「一生かけていわせてみせるっちゃ」と言う。あたるもこのままずっと死ぬまで一緒にいたいという意味で「いまわの際にいってやる」と応える。
ちょっと話は逸れるが、ロッテのチョコのコピーで『バレンタインのせいにして。』というのがある。「バレンタインという年中行事だから仕方なく」というフリで、実は〈好き〉を素直に表してしまおう、という感じか。
それでいうと『地球平和のせいにして』あたるはラムちゃんに気持ちを表したくはなかった。そうではなく徹頭徹尾ラムちゃんのためだけに、あたるは気持ちを伝えたかった。それが「いまわの際にいってやる」になるというわけだ。
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