先日、「本当のあなたはどうなったのか」という思考実験をする場に参加した。
前提は「完全な脳移植とクローンの技術が確立した。あなたの脳を取り出して２つに切り分け、それぞれをクローンの体に移植します。２人のクローンが目覚めると２人ともがあなたの記憶を持っており、あなたの記憶を思い出し、あなたであるかのように考え、感じます」ということである。
「2人とも本当の私で、これまでの私が内包されて続いていく」とか、「2人になった瞬間から違う経験をしていくから別人格になっていく」という意見、「心身が一体であってこその本当の私であり、肉体が分かれたら本当の私はいなくなった」という立場など色々な答えが出された。「人間を分割するというような非倫理的なことを考えていてもいいのか」などという言葉も飛び出した。
その中で、私が面白いと感じた意見がある。それは、周囲との関係性である。例えば、婚約者が分かれた2人の内の1人を選んで結婚をしたら、結婚をした方が本当の私かもしれないという見解である。自分というものを考える時に、「自分の内部だけに目を向けるのではなく、社会や家族など外とのつながりの中に自分がいる」と考えるのは、結構大事なことなのかもしれない。
（寺）
