なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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人の目 神の眼

 三角形の内角の和は180度であると証明できる。では人間が証明する以前では三角形の内角の和は何度だったのだろうか?
 恐らく180度であっただろう。物理学の法則とは異なり数学の定理は過去未来、つまり永遠に真理なのである。宇宙が進化してゆく中で、物理の法則は修正・変化を求められるかもしれない。だが繰り返すが数学の定理は未来永劫変わらない。プラトンが考えたイデアの世界の通りである。
 数学の世界は人間の介入を必要とはしない。これが数学の第一の顔である。
 いま或るひとつの図形を360度回転させる(1回転)。さらにもう一回(2回転)。そしてしつこくもう一回(3回転)。
 人間の目にはすべて同じに見える。逆に1回転したその図形と2回転させたその図形が異なるなんてことがあろう筈がない。そう思う。
 しかし、ここで(1回転)=(3回転)≠(2回転)という不思議な図形を想像しよう。出来ない。人間には。しかし現実の世界を調べてみると、この不思議な図形が存在するらしいことが分かった。(1回転)=(3回転)=(5回転)=…………であり、
かつ(2回転)=(4回転)=(6回転)=…………のような図形はどんな形をしているのか。繰り返すが人間にはこの図形が見えない。
 しかし、ある種の数学を使うと、このような図形を頭の中でしぶしぶ認めることが出来るようになった。これが神が視ているある種の図形、本当の世界である。
 人間の目には限界があるが、数学を使った目で見ると神が視ているものと同じものを見ることができる。神の視ている世界に人間が数学を用いて肉迫することができるのだ。
 ある種の図形とは例えば負の数である。じっさい机の上にマイナス1個の林檎が乗っかている図など人間の目には見えない。しかしこの負の林檎を二乗してみるとプラス1個の林檎があらわれる。そして元の見えない林檎の三乗はまた机の上から消える。
 こんな林檎は人間の目には魔法の林檎に見える。しかし、神はこのような林檎を実際に視ている。人間は〈―〉という記号を導入し、〈マイナス〉×〈マイナス〉は〈プラス〉になると決めることにより、このような数学の目を使って神の視ている世界を垣間見るのである。
 そのうちに神は自身を二乗するとマイナスになる数も視ていることが分かって来た。人間にはそんなものは見えない。だがこれも虚数〈i〉を導入することによって、i×i=―1という数学を発見することで人間の目にも神の視ている世界を垣間見ることが出来るようになった。
 この現実世界は不思議に満ちている。神は不思議を感じずにこの現実世界を直接眼で視ている。人間の目には見えてこないこの世界も数学の目を用いることによって人間も見ることが出来るようになるのである。
 これが数学の第2の顔だ。
 
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