少し前にかなり思い切って、持っていたほとんどのCDを手放してしまった。
かなり好きだったものも。
過ぎ去った事を思い出す時、大抵「寂しさ」のようなものを感じる。
シトシトと静かに降る雨のような。
楽しかった記憶も好きだった音楽も。
だから昔好きだった音楽でも意外と聴かないのだ。
というわけで、えいっと手放してしまったのだが、
先日、家人と話していてふと一枚のCDを思い出し…
聴きたくなってしまった。
惜しかったな、と思った。
手放さなければよかったかな、と。
でもそれと同時に
「どうせ、なんでもズルズルと持っては行けないのだから」
という言葉が浮かんだ。
「ズルズル」。
その語感に、今まで手放したあれこれが行列みたいに連なっているイメージが重なった。
それで、
ああ、やっぱり要らなかったな、と思い直した。
とはいえ、まだまだズルズルとひきずっているモノたちはある。
脱皮したのにまだくっついている皮みたいに。
それらもいずれは離れていくんだろうけど。
「所有」できるものなんて、そもそもあるのかなと思う。
この身体は、所有しているのだろうか。誰が?
この命は、所有しているのだろうか。私が?
「私」って誰?
…なごテツの常連さんの顔がふと浮かぶ。
その方がどう答えるか予測ができて笑ってしまう。
今月は忙しくて参加できていないけど、来月はまた参加しよう、と思う。
こういう結論のない考えをズルズルとしゃべらせてくれる貴重な場所だから。
(ikue)