なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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自然と人為

野に咲く花は、誰が見ても美しい。それを人が摘んで生けたとき、花は誰かの作品になる。その作品は、必ずしも全ての人の心を捉えるわけではない。人為が加わることで、花をめぐり作り手と受け手の間で、価値観、美意識、相性といったやりとりが生じるためだろう。

これは、素のまま生まれた赤ん坊が誰からも受け入れられる存在であるのに対し、成長して個の価値観や個性を表出するようになると、褒められたり批判されたりする存在に変わっていくのに似ている。

年を重ねるにつれ、花の見方が変わってきた。華やかで個性的な生け花に目を奪われても一瞬で、長く見続けていられなくなってきた。気がつくと、野に咲くように生けられた素に近い花のほうに目がいっている。禅僧の動きが美しいのにも似て、野の花のように自然に生きられたら、人も誰が見ても美しいのだろうか。生まれた時の自然を取り戻すのに、人には100年くらいの時間が必要なのかもしれない。


(MK)