なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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「人間の私」と「病人の私」

「病人は人間じゃない。私は人間の話をしているんだ。」
とあるお偉いお坊さんが、講演会の後、少し怒り気味で私の質問に答えた。
私が病人であるとも知らずに。
なるほど、私は病人だから、私は人間じゃないらしい。
でも、これは至言だとも思った。

言の葉に反して、私を苦しめるのは「人間の私」。
周囲は私に「人間の私」を求める。
人間なのに、もうこんな年齢なのに、あれも出来ない、これも出来ない、それすら出来ない。
自立して生きられる程の健康も、稼ぎもなく、家庭を持つなど遠い話。
自由に食べられない物も多く、なのに病名もなければ手帳もない。
褒められても、評価されても、枕詞に「病気でなければ」。

言の葉に反して、私に安寧を齎すのは「病人の私」。
夢の中でも私はとっくに「病人の私」。
出来ないことは私の日常。当然過ぎる事柄は私の目には霞んで映る。
自力で空を自由に飛べないことを不幸だと嘆かないのと同じ。
病人だけど、手術や対処療法を経て、色々出来ることも少しずつ増えてきた。
他人から頼られ、褒められ、評価され、こんなに幸運で幸福なことはない。

「幸せな病人の私」と「諦めきれない人間の私」、きっと私に限らない。
それでも今日を生きていく。

十六夜 燕雀)