「鏡の問題」をご存じの方はたくさんいらっしゃると思います。私が右手を上げると鏡の中の私は左手を上げる。なぜ、そうなるのでしょうか？ ここでは、この答えについてお話をするのではありません。
父の知り合いに物理学の教授がいました。退官後、この「鏡の問題」に取り組んで論文が受理されたのです。論文を提出するまで、その方はずっと「何に答えたら問いに答えたことになるか」について考えていました。
問いの前提となっている左右の意味、これまでの鏡面問題の解が見逃していることなどいろいろな角度から吟味していたのです。
私たちが、問いに答える時、自分に見える世界から答えを出します。いや、自分に見える世界以外から答えることはできないはずです。しかしそれは、問い立てと大きく離れた世界での答えかもしれません。(寺)
