なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

● なごテツからのお知らせ ● ←ここをクリック!


コラム

こうして戦争は廃絶された………ん?

先日の哲カフェ、テーマが「どうして戦争は起こるのか?」に決まり、哲学発言が続いてゆきます。 一国の指導者が戦争を始めるとき、その終結を全く考えないとは思えない。いや、どのように自国に有利に戦争を終わらせるか、つまり相手国に負けを認めさせ、ど…

たのしい迷い

先日の哲カフェテーマは『迷うとは』でした。最初に「迷う」と「悩む」の関係を考えてゆくという方針が採られました。だからなのか、明暗で言えばわりと「迷う」の「暗」の部分にフォーカスされた進行になったようです。 僕も「迷う」なのか「悩む」なのか、…

「おいしい」について考える

「おいしい」という感覚は極めて社会的・文化的な側面を持つものである一方、至って個人的なものでもあります。 だから、あの時感じた「おいしい」は、よく考えると「おいしくはなかった」などということはあり得ない、というのは哲カフェ中、参加者のひとり…

分離・分割と命名 そうではない動き

「分離・分割と命名」。これは科学という名の思考法の基礎だ。森羅万象について考えるとき、人間は対象を分類、分析、命名する、という方法で推し進めてきた。 それが成功を収め、ヒトという種族が他の追随を許さない程の繁栄を謳歌してきたわけだ。 その「…

自己実現とマズローの欲求段階説

1.【マズローの欲求段階説:授業から学んだ「自己実現」のイメージ】 「自己実現」という言葉を見て、私は学生時代に受けたある授業を鮮烈に思い出した。 100人以上は入る大教室で、その専攻科では、おそらく当時60代のベテランの女性の教授が、マズローの欲…

心理学的決定論

未来は決まっており、自分の意志など存在しない。 心理学的決定論 (光文社新書) この本も、なごテツの参加者の方から教えてもらいました。本書では「この世は全て事前に確定しており、自分の意志は幻影だ」という仮説が紹介されています。 著者の心理学博士…

2種類の不幸

不幸には2種類の不幸が存在する。相対的不幸と絶対的不幸である。 まず相対的不幸から見ていこう。自分は月給50万の会社員だとする。しかし先輩社員、同僚、後輩をみると皆、月に200万は稼いでいる。同じ仕事をしているのに、何故か自分だけ彼らの1/4の給料…

九十歳らしさって何だろう

TVを見ていたら、一般の人の日常が紹介されていた。その人は九十歳で、多くの趣味を楽しんでいて、毎日体操をし、食べることが好きで健康そうだった。番組の出演者たちは口々に「とても九十歳に見えませんよね」「若々しく見えて良いですね」と言っていた。…

いざ生きめやも

「風立ちぬ、いざ生きめやも」 堀辰雄の『風立ちぬ』の冒頭近くに出てくる詩句です。作者にも作品にも思い入れはありませんが、私はこの一文の音の流れが好きです。 元になったヴァレリーの詩を以下に示します(「いざ生きめやも」に対応する部分)。 Il fau…

パスカルの賭け

「人間は考える葦である」で有名なフランスの哲学者パスカルは、神が存在するかどうかという問題で「存在する」に賭ける方を勧めた上で、 もし勝ったら、きみはすべてをえるのだ。負けても、何もうしないはしない。だから、ためらわず神はあるという方に賭け…

「絶望の虚妄なるは……」 -- 魯迅の言葉に今思うこと

現代中国文学の父とも言われる魯迅は、『希望』(1925年発表)という作品の中でハンガリーの詩人ペテーフィの詩を引用し、次のように訳しています。 「絶望之為虚妄、正與希望相同」(絶望の虚妄なるはまさに希望と相同じい) 岩波文庫版『野草』(竹内好訳)…

「わかる」ってどういうことだろう?

大前みどりさんという方がnoteに書いた記事を読んだので、今回はそのお話です。 「自分がわかっていない」ことを「わかる」には何が必要か? この記事では、2冊の本が紹介されています。大前さんは、この本を読んで「お二人とも同じようなことを言及されてい…

映画「メッセージ」と哲学カフェ

哲学カフェは、いろいろな面白い情報に出会う機会でもあります。SF映画「メッセージ」のことも、なごテツの雑談で教えてもらいました。この映画をテーマにした哲学カフェも開かれましたが、そこでいろいろな意見・解釈が聞けて楽しかったです(以下ネタバレ…

「生きる意味」なんてあるの?

先日の哲カフェのテーマは大人気『生きる意味とは』でした。人気テーマで過去最多の参加者を集めます。しかしいざ哲カフェが始まると「生きる意味は無い」「そもそも人生に意味があるのかという問いは成り立たない」「人生は単なる暇つぶし」等などクールで…

女性のプライドについて考えた

自分で自分を守るとはどういうことなのか、何を守りたいのだろうかと考えた。お金や生活も大事だが、一番はプライドかもしれない。 女性の場合、若いうちや子どもの頃から自信をなくしてしまうことが多いのではないかと思う。成長期に男性と比べて身体能力が…

「教養」には誰も魅力を感じない⁉

先回の哲カフェテーマは「教養とは」だった筈です。筈というのは諸事情により哲カフェ中止となったからです。このままこのテーマは日の目を見ないのか。少しだけ気になりました。 教養とは何でしょうか。興味深い知識の集合。でも密林の中、文明とは隔絶した…

雪国マウント -- 冬に読む坂口安吾

先日都内で積雪が観測された日、ネット上に「雪国マウント」という言葉が溢れました。「このくらいの雪で騒ぐな」、「5cmは積雪に入らない」などという、ある意味上から目線(?)の発言です。積雪を想定していない都市ではわずかな積雪でも様々なトラブルが…

「self-illumination」は「自己の目覚め」か?--まだまだ岡倉天心

『茶の本』の回の終了後、「self-illumination」の訳語について情報とご指摘を頂きました。以下、その箇所の原文と訳文を紹介します。 Again the roji, the garden path which leads from the machiai to the tea-room, signified the first stage of medita…

権利も尊厳も自然によって冒されることはない

なごテツの掲示板で「尊厳とは」というテーマについて話をしました。 私にとって「尊厳」とは、それが損なわれる状態になってから気づく、空気のように当たり前に、人が人であるために必要不可欠なもの。 人が人以外として扱われる状態、代替えのきく物のよ…

驚異的な光に満ちた空虚--晩年の岡倉天心

ブックカフェ『茶の本』にご協力およびご参加頂いた皆様ありがとうございました。 切り口を絞った後も、皆さんが巧みに別の章と関連付けながら議論を展開されるのを驚きをもって聞いていました。そもそも岡倉天心の著作はそんなに構成がきっちりしていなくて…

禅を学ぶには『鉄鼠の檻』を読め?

先日ちょっとした雑談の中で盛り上がった(?)『鉄鼠の檻』、京極夏彦の人気シリーズ第四弾です。第二弾の『魍魎の匣』が最高傑作という世間の評価には賛同しますが、個人的にはこの『鉄鼠の檻』が一番好きです。 謎の巨刹明慧寺で起こる連続殺人事件を中心…

論理哲学論考を読む手がかり(か?)

2月5日、なごテツの雑談タイムで哲学者ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』(以下論考と略します)の初心者向け読書会が行われる予定です。そこで、わかりやすい解説書なども読んでみた上で、「入門の入門の門前の小僧」的な素人なりの「手がかり」を、…

「空しさ」と「虚しさ」の違いについて

先日のカフェで「むなしさ」について話し合いました。そこで「空」と「虚」の「むなしさ」の違いは?という疑問を投げかけた方がいらっしゃいましたが、そのとき僕にはその違いがわかりませんでした。 そこで後日、広辞苑の「虚無」を調べてみると、こんなこ…

西田幾多郎『善の研究』

今せんだい哲学読書会で西田幾多郎を読んでいます。 『善の研究』は西田初期の代表作であり、その後思想的な変化はありますが、純粋経験、主客合一、宗教の意味など、西田哲学の根幹が詰まっている著作です。 禅的な側面も強く深いのですが、アプローチはむ…

隻手の声

先日の雑談タイムで出てきた「隻手の声」、私も好きな言葉で、以前他の場所でもお話したことがあります。 隻手の声は禅宗の公安の一つで、百隠が初学者を前に語った次の言葉から来ているとされています。 「隻手になんの声やある。隻手の声を拈提せよ」(両…

問いに答える

「鏡の問題」をご存じの方はたくさんいらっしゃると思います。私が右手を上げると鏡の中の私は左手を上げる。なぜ、そうなるのでしょうか? ここでは、この答えについてお話をするのではありません。 父の知り合いに物理学の教授がいました。退官後、この「…

虻は障子の穴を見つけられない

昔から仲がよかった仲間を集めて、LINEグループを作りました。みんな、住んでいる場所がとても離れているので、会おうと思ってもせいぜい年に一度が限界。個別に電話することはできても、みんなで話すことはできなかったんですが、LINEグループのおかげでい…