なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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ネガティヴな感情の扱い方

あなたは、普段、ネガティヴな感情をどう扱っているだろうか?

自分の感情をコントロールしていくためには、「成熟した心理的防衛機制」を身に付けていく必要がある。なぜなら、生きていれば嫌な事に遭遇することは避けられず、いちいちネガティヴな感情や思考に巻き込まれていれば、毎日落ち込み続けることになってしまうからだ。そして、ネガティヴな感情も生きていく上では必要で、その役割を理解してコントロールできれば、周囲の人と良好な関係性を築けるきっかけにもなる。

その「成熟した心理的防衛機制」とは、「受容」、「ユーモア」「昇華」だ。心理的防衛機制には幼い頃から見られる未熟なもの(「抑圧」、「行動化」、「分裂・理想化」、「投影」)や大人にも広くみられるもの(「投影性同一視」、「合理化」、「反動形成」)もあるが、それらは一時的な効果しかなかったり、自分を守ることはできても周囲の人を傷つけたりするものもある。

だからこそ、自分を必要以上に傷つけないと同時に、周囲の人を傷つけない知性として、精神的に成長した大人だからこそ「成熟した心理的防衛機制」を意識して身に付けていくことが重要なのだろう。

ところで、敬遠されがちな感情で、特に“周囲を不快にさせないために、感情を表に出すべきではないといった価値観”を持っている場合、ネガティヴな感情は「いけないもの」とされがちだ。しかし、それらには理に適った役割があり、生きていくうえで欠かせないものでもある。

例えば、「不安」は危険を知らせるアラームで、何かをきっかけに自分が生み出した思考にすぎない。ただ「不安」がなければ、例えば交通ルールを守らないといったことで自分や周囲の命を危険に晒す可能性もある。

「悲しみ」は周囲との絆をつくる上で役立つものだ。誰かが悲しんでいる姿を見せることは「私は今、辛い思いをしています。」と周りに知らせることで、その気持ちに共感した人たちは、その人を助けようとする。

怒りを感じるとき、たいていは自分自身が傷ついており、そのネガティヴな感情が複雑に絡み合って奥に潜んでいる。怒りはそんなネガティヴな一次感情から発生した二次感情だ。ネガティヴな感情の代表といえば、不安、悲しみだろう。アンガー・コントロールは重要だが、怒りにも役割はある。それは大切なものが侵されそうになっていることの反応で、自分にとって何が大切なものなのかを考えるきっかけをくれるのだ。それは自分が大切にしている価値観が何かを知ることにも繋がる。

そうしたネガティヴな感情の役割を認めつつ、自分自身がその感情をありのままに受け入れることが、成熟した心理的防衛機制でまず必要な「受容」だ。これは、なかなかに難しい。そもそも受け入れがたい感情や願望や不安から自分の心を守るために、ネガティヴな感情・思考を否定したり、理屈でごまかしたり、攻撃できるような他者を見つけて八つ当たりしたりする。それを辞めよう、認めたくないような本当の自分の感情に目を向けよ、受け入れよ、ということなのだから。

ではどうすればいいのか。

そもそもコントロール不能なことに足掻いても仕方がないという“肯定的な諦め”が有効ではないかと私は思う。“言語化して書く”ことが、自分自身の感情や思考を客観的に見つめる手助けをすることもあるだろう。例えば、今どんな気持ちなのか?それはどこから生じているか?その気持ちでいる自分をどう思うのか?を書き出す。悲しみを感じる時、「私=悲しい人」ではなく、「私は今、悲しみを感じている」だけで、何を失って悲しいのか理解し、その時に十分悲しむことと、悲しみの感情・思考と自分が一体化しない距離感が大事なのだと思う。

ネガティヴな感情を「受容」できると、「ユーモア」や「昇華」へとスムーズに移行でき、行動も変わる。成熟した防衛機制は、意識しないとなかなか身につかない。しかし、努力して身に着けるだけの価値は充分あると思う。

例えば、かつて州知事選に向け演説していた俳優のアーノルド・シュワルツネッガー氏のユーモアは秀逸だ。演説会場に現れた際、生卵をぶつけられ、彼は顔色一つ変えずに上着に着いた生卵をぬぐって、ユーモアで切り返した。

「This guy owes me bacon now.(あいつ(犯人)にはベーコンの貸しだ。)」
(「卵をくれるのならついでにベーコンもくれよ。じゃないと、ベーコン・エッグができないじゃないか」ということ。)

会場は爆笑の渦。そして彼は見事に州知事に当選した。通常なら憤慨してしまうような緊張する場面でこういうユーモアを咄嗟に言えるのは、自分の感情のコントロールができている証で、周囲を和ませ、人間関係を円滑にする魅力的な人間性がそこにはあるのだ。

みなさんなら、ネガティヴな感情をどのように解消するだろうか?

(てんとうむし)

 

参考図書・資料:
・kagshun、「精神科医kagshunが教えるつらさを手放す方法 幸せになる超ライフハック」(KADOKAWA、2022.7.7.初版)

晴れの日も雨の日も#194 感情を扱う|ながいコーチの「晴れの日も雨の日も」 (note.com)

Schwarzenegger hit with egg - ABC News

【印刷用】「ベーコンもよこせ」/生卵投げられシュワちゃん | 全国ニュース | 四国新聞社 (shikoku-np.co.jp)