なごテツ世話人&ファンのつぶやき

「なごテツ」の世話人およびファン倶楽部のメンバーによる個人的なつぶやきブログ。なお、ここに書かれているのはあくまでも個人の意見で、「なごテツ」の意見ではありません。

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未完の大作のその後

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未完の大作と言われて最初に思い浮かぶのが『カラマーゾフの兄弟』です。この作品は現在刊行されている第一部と、作者の死によって書かれなかった第二部とで構成されており、第二部の展開については様々な議論があります。2021年11月にEテレの100分de名著で取り上げられた際にも、亀山郁夫さんが第二部の構想について解説されていました。


作者のメモや草稿から第二部がアリョーシャを中心とした物語であることは定説のようですが、カラマーゾフの血を引くアリョーシャがどうなるのか、革命がどう描かれるのか、想像するのは楽しいです。

 

日本文学における未完の大作と言えば、夏目漱石の『明暗』でしょうか。漱石は、構成、文体、思想、その他色々な要素において卓越した力を持った作家ですが、それらのバランスがぴたっと嵌ったのがこの『明暗』だと思います。この名作の続編にチャレンジした作家がいて、『続明暗』として刊行されています。文体やキャラはそれなりに生かされていますが、やはり何かが足りないもどかしさが残ります。

 

最後に個人的に思い入れがある未完の大作として、埴谷雄高の『死霊』を挙げたいと思います。前出の『カラマーゾフの兄弟』に深く影響を受けた作品で、日本現代文学屈指の観念小説(形而上文学?)とも言われています。作者本人に完成させる気がなかったのではと思いますが、作者が生きていたら続きが読みたかった本として忘れられない一作です。

 

結論、ミロのヴィーナスは今の形が一番美しい?

 

※ミロのヴィーナスは「未完」ではなく「欠落」です。

 

(福)