哲学カフェは、いろいろな面白い情報に出会う機会でもあります。SF映画「メッセージ」のことも、なごテツの雑談で教えてもらいました。この映画をテーマにした哲学カフェも開かれましたが、そこでいろいろな意見・解釈が聞けて楽しかったです(以下ネタバレの可能性もあるのでご注意ください)。
「メッセージ」は、2017年に日本公開されたアメリカのSF映画です。主人公は、突然現れた謎の異星人とコミュニケーションを図るという任務を負った女性言語学者で、言語の持つ影響力の強さが描かれています。
この映画の中に出てくる「サピア・ウォーフの仮説」という言語学上の仮説は、フィクションではなく実在していて、私は特に興味を惹かれました。
「サピア・ウォーフの仮説」では、「言語はそれを使う者の世界観や考え方に影響を与える」とし、「どのような言語によってでも現実世界は正しく把握できるものだ」とする立場を疑問視しています。
言語学者サピアによると、「“現実の世界”は、大部分が無意識のうちにそのグループの言語習慣に基づいて作り上げられています。同じ社会的現実を表していると考えられるほど、十分に似ている2つの言語はありません。異なる社会が住んでいるのは、はっきりと別の世界であって、ただ異なるラベルがつけられただけの同じ世界ではないのです」とのこと。
また、「われわれが聞いたり、見たり、経験したりするのに大体一定のやり方がありますが、これはわれわれの共同体の言語習慣が、ある種の解釈を前もって選択させるからなのです」とのことです(以上引用『科学としての言語学の地位』 )。
「自分が何を考えてしまっているか」について考えてみる(!?)と、言語の影響は非常に大きそうな気がします。そもそも、この仮説を面白いと考えること自体、言語習慣に選択させられているのかもしれません。
(草)
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