その昔、パソコンがまだ一般的でなかった頃、「パソコン買おうかなー」などとつぶやくと、家族や友人から「なにに使うの?」と聞かれた。
「いろいろ調べたりとか」
「なにを調べるの?」
そう聞き返されて、「確かにねぇ、なにを調べるんだろう?」と思った。
当時は調べるといえば基本的には書籍。そもそも『調べたい』と思うことが日常にそれほど多くなかった気がする。
旅行に行こうかなと思えば、本屋で旅行ガイドを買い、
料理の作り方はテレビや雑誌、料理本に教えてもらい、
わからない漢字や言葉の意味は辞書に教えてもらった。
そして、ちょっと興味があって知りたいけれどわからないことは、そのままにしておくことも多かった。そのうちわかるだろう、と。
でも今は毎日のようにパソコンで検索して調べる。
なにをそんなに調べているの?履歴を見てもたいしたことは調べていないのに。
知らないままでいいことまで、簡単にわかってしまうからつい調べてしまう。
そして、へぇ、と思って忘れてしまう。
昨年末からおしゃべりできるAIを誰もが使えるようになった。
そのせいで、たくさんの人のブログやホームページで『AIに聞いてみた』云々の記事が溢れている。
私も最初は、へぇと思って登録してみたけれど、ほとんど使わないまま放置している。
誰かの『AIに聞いてみた』系の記事も全然見ていない。
なにが面白いのかわからない、などと言ったら説明してくれる人が多分たくさんいるので正確に言うと、面白いのはわかるけどあえて使わないのです。
これ以上のおもちゃは、今の私には必要ない。
だからあえて『AIに聞いてみない』。
(ikue)