これは具体的な提案ということではないのだが、結果的に悩みやストレスを乗り超えることになった二つの事例について語りたい。
①「別な悩みやストレスの発生」
頭の中の大半を占めていたはずの悩みやストレスは、新たな問題の発生により、隅に押いやられる。解消したというより、場面を強制的に切り替えられ、他のことに注力するうちに悩みは形を変え小さくなっていく(後日その悩みが復活しても、重量は違う)。
②「他者の悩みやストレスを知る」
人には共感力がある。他者の悩みやストレスを知ることで、「こんな苦しみ哀しみがあったのか」と心を添わせることになる。それと同時に、自分の悩みが何故か小さくなるのを実感する。自分の悩みを語ったわけではないのに、人の悩みを知ることで、悩みが相対化されるのかもしれない。
実体験として、①②が一緒に起こるのを感じたことがある。東日本大震災の少し前、個人的に喪失感や空虚感を感じる出来事が続いた。震災の報道を見ながら、その時自分の中の個人的な苦しみが、大きな勢いで流されていくのを感じた。
結局、自分自身への過度な集中から目を逸らして視点を切り替えることが、悩みやストレスを乗り越えるには必要ということなのかもしれない。そう考えると、自分一人で考え続けることはあまり効率的な方法ではなさそうだ。悩んで煮詰まったら、「新たな悩みの発生を待とう」と開き直ったり、人生相談のサイトで他者の悩みに答えたりすることが、案外有効なのかもしれない。
(MK)